いつか、どこかで

【読書メモ】イノベーション・オブ・ライフ

イノベーションのジレンマ」で有名な著者が、ガン治療で髪が抜け落ちた状態で行った講義をより幅広い層に伝えるためにまとめられた書籍、「イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」を読みました。

www.shoeisha.co.jp

本書は3部構成になっていて、それぞれが以下の内容について書かれています。

  • どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろう?
  • どうすれば伴侶や家族、親族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎない幸せのよりどころにできるだろう?
  • どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?

 そして、それぞれの目的を達成するための理論が書かれているのですが、ここで理論とは、人生の状況に応じて懸命な選択をする手助けとなるツールと定義されています。
手助けとなるツール、って表現良いですね。欠いてはいけない、とか必須である、とかの強くて傲慢な感じと違って。

 また、こうも書かれています。

理論とは「何が、何を、なぜ引き起こすのか」を説明する、一般的な言明だ。

 よりよい人生を考えるものさしを論理的に説明するための一般的な言葉がこの本には書かれているわけですね。

 

印象に残った言葉を挙げると、

日陰が必要になると思ったそのときに苗生を植える

わたしたちが製品を購入する動機になるのは、「自分には片付けなくてはならない用事があり、この製品があればそれを片付ける助けになる」という思いだ。

子どもたちは学ぶ準備ができたときに学ぶのであって、わたしたちが教える準備ができたときに学ぶわけではない 

などがあります。

 

何を考えるかではなく、どう考えるかということの大切さを感じる本でした。

そして、最後びっくりしたのが、ガン 治療が落ち着いてたときに脳梗塞で倒れて、表現性失語症になってたという話。始めのうちは話すことも書くこともほとんどできなくなっていて、そこから粘り強く一語ずつ学ぶ努力をした、と。
その過程の困難さを思うと、そこからまだ本書を含む数冊の著書を物した著者の方は本当にすごい努力をされる方だったんだなあとしみじみ感じました。

 

良い読書体験でした。ありがとうございました。